【ブログ】発達障害「苦手なことは避けるべき?、それとも訓練するべき?」
結論としては「避けるべき」と「訓練すべき」の両方を、目的に応じてバランスよく考えるべきだと思います。
発達障害のある方にとって、「苦手なこと」は、単なる不得意ではなく脳の特性によって非常に強いストレスや混乱を引き起こす領域であることが多いです。
そのため、次のような観点別の判断が重要です。
1. 安全や尊厳にかかわる場合は、避けたり代替手段を使うべき
【例】
- 聴覚過敏がある方に、騒がしい環境での接客業を無理にやらせる
- 書字障害のある方に「書く練習をすればできる」とひたすら文字を書かせる
- 空間把握が極端に苦手な人に、高所作業を訓練で克服させようとする
このようなケースでは、苦手なことに耐え続ける=本人の心身の消耗につながる可能性が高く、合理的配慮や業務の工夫・代替手段の活用が望まれます。
2. 社会的な生活や自立に必要な最低限のスキルを持つための訓練は必要
【例】
- お金のやりくり(数の概念が苦手でも「視覚的に管理」する訓練)
- コミュニケーション(苦手でも「型」や「例文」での練習)
- タイムマネジメント(視覚的なタイマーや予定表で補助)
自分の強みを生かしつつ、スモールステップで訓練すれば「できるようになる」ことも多く、「訓練=苦しみ」ではなく「安心を得る手段」になることもあります。
社会に出るための最低限のマナーであったり、生活していくための金銭管理は非常に重要だと思います。
3. 就職や職場適応のためには「苦手の克服」よりも「得意の活用+配慮の交渉」
就職の現場では、「何をできるようにするか」よりも、「どうすれば安定して働けるか」が大切です。
苦手を無理に克服するよりも、「配慮を受けつつ働く」「得意を中心にした業務配置」を目指す方が安定するでしょう。
例えば
Excelが苦手でも、データチェックや軽作業で高精度を発揮できる人は貴重です。
接客が苦手でも、在庫管理や事務処理で力を発揮する人もいます。

最終判断は自分がどうしたいか?
最終的に、「避けるか・訓練するか」は自分がどうしたいかということが最も重要です。
「どうしても苦手だけどやってみたい」なら工夫して挑戦する
「それだけは本当に無理」なら避けることが合理的
無理に型にはめるのではなく、“どこまでやってみるか”を考えてから行動に移すことが大切です。
生理的に無理で精神的につらくなるようなことは無理をせず避ける方がいいのかもしれませんが、自分が出来るようになりたいと思うことはどんどん訓練や練習をして挑戦してみて下さい。
出来なかったことが出来るようになれれば、仕事の選択肢も増えると思います。
