【ブログ】発達障害「自分にできそう・できなさそう」の予測を立てるのが難しい
なぜ発達障害の方は「できなさそうなこと」を予測するのが難しいのか
発達障害のある方の中には、 「やってみたら全然できなかった」
「興味があるから挑戦したけど、想像と違って難しかった」
といった経験をされる方が少なくありません。
一方で、周囲の人は
「自分は手先が不器用だから、これは苦手そう」
「私は計算が苦手だから経理には向いていないな」
と予測して挑戦を控えることもあります。
では、なぜ発達障害の方は“自分ができる・できない”を予測しづらいのでしょうか。

1. 自分を客観的に見る力(メタ認知)の難しさ
発達障害の方は、自分の得意・不得意を客観的に把握する力が弱い傾向があります。
この力を「メタ認知」と呼びます。
メタ認知が弱いと、
- 自分の能力を正しく評価できない
- 過去の失敗をうまく活かせない
- 得意・不得意の境界があいまいになる
といったことが起こります。
そのため、「できると思ってやってみたら難しかった」ということが起こりやすいのです。
2. 興味や好奇心が判断より先に動く
発達障害の方は、興味のあることに強く惹かれやすい傾向があります。
「楽しそう」「やってみたい」と思うと、
“できるかどうか”よりも“やりたい”気持ちが先に動くのです。
これは決して悪いことではなく、探究心の強さの表れです。
ただし、実際にやってみてから「思ったより難しかった」と気づくことが多くなります。
3. 経験を別の場面に応用するのが苦手
過去に似たような経験をしていても、
「今回は違う作業だから大丈夫」と考えてしまうことがあります。
これは、経験を“パターン化して活かす”こと(一般化)が苦手なためです。
たとえば、細かい手作業が苦手だった経験があっても、
別の細かい作業では同じ困難を想定できない、といったケースです。
4. 自信のなさや極端な自己評価
一方で、過去の失敗経験から「自分には無理」と思い込み、
新しいことに挑戦できなくなるケースもあります。
このように、「できない予測」も極端になることがあります。
つまり、「予測できない」のではなく、
“自分を過大評価または過小評価してしまう”という傾向があるのです。
5. 工夫のポイント
自分の「できる・できない」を見つめるには、次のような工夫が役立ちます。
- 一人で判断せず、家族や支援者に相談してみる
- いきなり本格的に始めず、小さく試してみる(体験・練習など)
- うまくいかなかったことも「失敗」ではなく「発見」と捉える
- 得意・苦手をメモして、自分の傾向を見える化する
まとめ
発達障害の方が「できなさそうなこと」を予測しにくいのは、 自己認識や経験の活かし方が独特だからです。 しかし、それは「努力不足」ではなく、「脳の働きの違い」によるものです。
発達障害の方の中には、テレビやSNSなどで見た「理想的な姿」に強く共感して、 「自分もそうなりたい!」という思いから職業や活動を選ぶことがあります。 しかし、それが自分の得意分野と一致しているとは限りません。
その場合まずは挑戦してみてください、そして必ず自分にマッチしているかどうかを自分だけで判断せず、その分野にたけている方のアドバイスや意見を聞くことをお勧めします。
新しいことに挑戦する際は、「できそうなこと・できなさそうなこと」が自分は判断しづらいという認識をもちながら挑戦するのが大切ではないでしょうか。
