【ブログ】精神・発達障害「自宅では無気力になり、片づけられない」
「片づけられない」「入浴が億劫」「外では頑張れるが自宅では無気力になる」といった状況は、精神障害をお持ちの方によく見られる状態の一つです。
背景には複数の心理的・神経生理的な要因が考えられます。
今回はそんな特性の原因や対処法などをお伝えしたいと思います。
考えられる主な原因
実行機能の障害
前頭葉の働きが関係する「計画を立てる」「手順を考える」「行動に移す」などの力が弱まっていると「片づけをどこから始めるかわからない」「考えるだけで疲れてしまう」といったことが起きます。 精神疾患(うつ病、統合失調症、ADHD、双極性障害など)ではこの実行機能が低下することが多く見られます。
うつ的な無気力・興味喪失
「入浴」「掃除」「食事」など、日常生活の基本的な行動(セルフケア)すら億劫になる。特に自宅=安心できる場所では、気力が緩んでしまい無気力状態が表に出やすくなります。
環境の刺激不足・切り替えの難しさ
外では他者の目やスケジュール、緊張感があるためある程度頑張れるが、自宅は刺激が少なく、エネルギーが切れて「シャットダウン状態」になることがあります。 発達障害の方に多い「切り替えの苦手さ」も原因の一つです。
認知の偏り・失敗経験の蓄積
「自分はどうせ片づけられない」「前もできなかったから無理」といった思考が繰り返され、行動する前に諦めてしまう。 完璧主義も関係し、「完璧にできないならやらない」となってしまうケースもあります。
また完璧にやらなくてはいけない、もしくはやらないという選択肢しかないことから「完璧にやるの面倒だからやめておこう」という考えになりやすい傾向もあります。

様々な対処方法
小さなステップに分ける
「部屋を片づける」ではなく、「机の上にある紙だけを捨てる」など、できる範囲に細分化。タイマーを使って「5分だけやる」など、時間で区切るのも有効です。
部屋を小さいエリアに分けて片づけていくのもアリだと思います。 チェックリストやルーティン化
「起きたら顔を洗う」「夕方になったらお風呂に入る」など、習慣に落とし込む工夫をする。視覚的に見えるToDoリスト、カレンダー、タイマーも有効。
しかし、ルーティンを増やし過ぎてしまうと、「やらないといけない」「やらなければならない」という特性から、多くのルーティンをこなすだけで精一杯なんてことにもなりかねませんので注意が必要です。
専門的な介入
精神科デイケア、作業療法(OT)、訪問支援(自立支援医療)、就労支援などの支援機関を活用する。 認知行動療法(CBT)などで、思考のクセや行動パターンに気づき、改善する支援も効果的です。
まとめ
精神障害の方が「片づけられない」「入浴が億劫」といった状態になるのは、意志が弱いからではなく、脳の機能や心理的背景によるものです。 外では頑張れても家では動けないのは、気を張っていた分の反動であり、むしろその分頑張っている証拠とも言えますので、気を落とすことなく少しずつ自分に合った方法で対処してみて下さい。
自宅が片付くことで、自宅にいるときのやる気が向上しやすくなります。
自宅でやる気が向上すると、趣味や娯楽に時間を使えるようになり、メンタルの安定にもつながりますよ。
